負債の相続(3) 当然分割の例外2 包括遺贈があった場合

当然分割の例外2 包括遺贈があった場合

借金は、相続により当然に分割され、遺産分割の対象とはならないと聞きました。父が亡くなった後、遺言書が見つかり、兄が借金を含めた全財産の遺贈を受けていることがわかりました。兄が生前に父の面倒をよく見ていたし、長男として良くやっていたと思いますので、遺言書の内容については、私も妹も異存はありません。
しかし、その場合でも、私と妹は借金も当然に相続するのでしょうか?どうも納得がいきません。
今回のケースでは、長男さんがプラス財産もマイナス財産も一人で相続し、他の相続人が借金だけを分割して相続することはありませんので、ご安心ください。
本来、被相続人の金銭債務その他可分債務は、法律上当然分割され、各相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解するべきであるというのが、最高裁判例の考え方です(最二小判昭和34年6月19日(民集13巻6号757頁)。
したがって、相談者様も妹様も当然に負債は3分の1を相続することにもなりそうです。
もっとも、これには例外もあります。
「相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり、これにより、相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である」(最高裁平成21.3.24民集 63巻3号427頁、家月 61巻9号93頁等)と判示しており、包括遺贈により相続財産の全てを取得した者は、相続債務の全額を承継し、相続することになります。
このようなケースについても、債務を分割債務としてすべての相続人に承継させる必要はなく、また、債権者が不利な立場に立つということもないというのがその理由です。
よって、相談者様や妹様は、借金を相続することはないと思います。 以上です。参考にしてください。

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