相続人の一人が行方不明のため遺産分割ができないときの解決方法

5年前に離婚した夫は、10年前から認知症に罹患し、弁護士が成年後見人に選任されました。子供は長男と次男の二人おりますが、長男は10年前から行方不明であり、成年後見人は、長男が行方不明である以上、次男へ遺産を引き渡すことはできないと回答しています。元夫の遺産は自宅土地建物ですが、自宅土地建物の各5分の1は元妻である私の名義となっています。長男の戸籍を取り寄せて、戸籍の附票を確認しました。しかし、結婚等の戸籍の変更は一切なく、10年間住民票の移動はありませんでした。また、住民票上の住所に確認に行きましたが、別の方が住んでおり、大家さんに確認しましたが、長男の所在は確認できませんでした。できれば、自宅土地建物は売却して分配したいと考えております。今後どのような手続きをすればよろしいでしょうか?
家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。遺産分割が必要な事案では通常弁護士や司法書士が不在者財産管理人に選任されることになります。不在者財産管理人は、不在者の法定代理人として、遺産分割協議に参加します。不在者の法定相続分相当額を確保できるような遺産分割の内容にするように活動しますが、法定相続分が100万円にも満たない場合には帰来時弁済という方法をとる場合があります。

 帰来時弁済とは、法定相続分よりも多く目の遺産を取得する相続人に対し、不在者が帰来した場合には法定相続分を弁済することを確約させたうえ、不在者が取得するべき法定相続分相当額を他の続人にゆだねるという方法です。通常、不在者財産管理人の権限は保存行為のみですので、遺産分割協議を行う場合には、家庭裁判所の権限外行為許可が必要となります。

 したがって、次男さんは、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てたのちに、不在者財産管理人と遺産分割協議を行うことになります。

 不在者財産管理人と次男さんとで各2分の1の割合で相続することとなった場合は、その割合で相続登記をします。相続登記には、不在者財産管理人証明書と権限外行為許可審判所謄本が必要となりますが、遺産分割調停調書があれば、その正本の提出で足ります。

 元奥さんは5分の1の持ち分をお持ちですから、不在者財産管理人が5分の2、次男さんが5分の2の持ち分を持つことになります。 3名で協議の上、不動産を売却して換金することを合意すれば、不動産を任意売却することができると考えられます。
 自宅土地建物が効果であり、その5分の2が100万円を超えるような場合は、帰来弁済は許可されない可能性が高いです。そして、裁判所が帰来時弁済を許可しなかった場合は、不在者財産管理人の職務は継続し、毎月一定の報酬が不在者の換金された財産から差し引かれることとなります。
 その他、不在者財産管理人の選任の外、失踪宣告という方法も考えられますが、失踪宣告が言い渡されると失踪者は死亡したものとみなされます。行方不明の場合は7年間生死が明らかでない場合は申し立てが可能ですが、帰来すると宣告が取り消され、相続財産の内残存部分について返還義務がありますし、やはり死亡したものとみなされるので、申立をする方にも相当抵抗感があると思いますので、この方法は本件のケースでは選択する必要はないと思います。

 ご参考にしてください。

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