負債の相続 (1)負債について遺産分割協議できるか?

負債について遺産分割協議できるか?

 

先日、父がなくなりました。父は、預貯金や株式等を所有していたのですが、同時に資産に比べれば少額ですが銀行等から借入も行っていました。
相続人は、私の他、兄と妹がいるのですが、遺言書を父が書いていなかったため、遺産分割協議をすることになりました。兄は、投資目的の株式については名義変更して単独所有したいので、借金についても自分が相続したいと言っています。妹は、全て現金化して借入を返済して残った金額を三等分すればよいと言っています。
相続財産に負債がある場合の注意点を教えてください。
被相続人の金銭債務その他可分債務は、法律上当然分割され、各相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解するべきであるというのが、最高裁判例の考え方です(最二小判昭和34年6月19日(民集13巻6号757頁)。よって、金銭債務は相続発生により当然に各相続人に法定相続分で承継されるため、遺産分割の対象とはなりません。
遺産分割協議では、負債については、遺産分割事項ではありませんので、原則として協議の対象とはなりませんが、相続人全員の合意があれば、遺産分割の対象とすることができます。
しかし、遺産分割協議で、負債の負担者について、相続人間で合意したとしても、それを債権者に対抗することはできません。
すなわち、相続人間で、負債の負担について合意した場合は、相続人間の内部での負担割合を合意したに過ぎないことになります。
本件では、負債は兄弟3名で3分の1の割合で当然に分割取得しますので、お兄様が負債を単独相続するという内容の遺産分割協議書を作成したとしても、それは債権者に対抗することはできません。
負債を承継したくないということであれば、すべて現金化して、負債を完済するという妹さんのご意見がいいかもしれませんね。
プラス財産とマイナス財産の額にもよりますが、お兄さんに承継させるにしても、お兄さんが将来債務を完済できなくなり、他の相続人が負担するという将来的なリスクも考えたうえで遺産分割協議を行ってください。
以上です。ご参考にしてください。

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