養子縁組しないことで相続税が安くなるケース

私が子供のころに実母が死亡し、父が再婚して、母(養母、現在も存命で認知症なし)に育てられましたが、母とは養子縁組はしておりません。母には資産が2億円程度あります。母には推定相続人として兄弟が7名いましたが、そのうち二人が死亡しており、その子供(代襲相続人)を合わせると相続人の数が12名となります。母は、すでに私に対し全部相続させるという遺言書を書いてくれていますので、一安心ですが、遺言書は無効になる可能性もあると聞いて心配になり、私が母の養子になれば相続人について心配することが一切なくなると思って他の弁護士に相談したところ、養子縁組するように勧められました。やはり養子縁組する方がいいでしょうか?
先ほどの弁護士の回答は、税法の知識のない弁護士の陥る典型的なミスリードといえるでしょう。遺言書が有効である限り、相談者は遺産の全部を取得できますし、養子縁組しない方が、相続税が安くなりますので、養子縁組はお勧めいたしません。 
 養子縁組をせず、遺言書が有効であることを前提とすれば、相談者は2億円を問題なく相続します。その際の相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数(本件は12名)の1億0200万円なので、課税遺産総額は、9800万円となり、相続税は2240万円となります。ただし、受贈者は被相続人の1親等の血族及び配偶者のいずれでもない場合、その者の相続税額にその税額の20%相当額を加算されますので、2688万円となります。
 一方、相談者が養子縁組した場合は、遺言書がなくとも2億円を相続できます。ただし、その際の相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数(本件は1名)の3600万円なので、課税総額は、1億6400万円となり、相続税は4860万円となります。
 養子縁組するかどうかで、2000万円以上も相続税額に開きが出ます。
 遺言書が有効である限り、いずれの場合にも、受贈者である相談者が単独で2億円の資産を相続できますが、養子になるかどうかで、相続税の負担に大きな差が出てきます。
 遺言書が有効である限りと書きましたが、弁護士に相談の上、遺言書案を作成してもらい、それを公正証書遺言にすれば、無効の余地はほぼなくなるといってもいいでしょう(ただし、お母さんが重度の認知症等遺言能力がない等の場合は異なります。)
 養子にすることで相続税対策となるケースもありますが、本件では、養子縁組しないことこそが、相続税対策といえるのです。
 遺言書の作成には、税法の知識が欠かせません、税法に精通した弁護士への相談が最も安全といえるでしょう。ご参考にしてください。

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