妻に全部相続させたい場合

 

 :私には、妻と子供一人がおります。子供は独立して、嫁と子供二人がおります。息子は、現在、嫁と折り合いが悪いと聞いています。

 私が亡くなった場合に、妻の老後が心配ですし、息子の嫁に私の財産が行くことは避けたいので、すべての財産を私妻に相続させたいと考えていますが、その場合に遺言が必要なのでしょうか?くれぐれも、息子の妻に我々の財産を相続させないようにしたいのですが、大丈夫でしょうか?

妻に全部を相続させる旨の遺言を作成した上で、家庭裁判所で息子さんに遺留分の事前放棄手続きをして頂き、裁判所の許可をもらえばいいでしょう。

 まず、すべての財産を相談者の奥さんに相続させる旨の遺言書を作成してください。自筆証書遺言の場合は、後で無効となる可能性が高いので、なるべく公正証書遺言にしてください。

 遺言を作成しても、息子さんはこの場合、相続財産の4分の1について、遺留分がありますので、相続財産が2億円の場合であれば、5000万円について遺留分減殺請求権を行使することができます。

 不動産の価値が1億5000万円であれば、相談者の奥さんは不動産のみを取得し、預金等はすべて息子さんに行くことになります(改正後の相続法では奥さんは配偶者居住権が認められますがその規定の施行日は2020年4月1日です。)。

 そうなると、相談者の奥さんは老後の生活に窮することになりますので、相談者の奥さんは、不動産を売却するなどして生活費をねん出する必要が生じます。

 そのようなことにならないようにするためには、家庭裁判所で息子さんに遺留分の事前放棄の手続きをしてもらい、裁判所の許可を取得すれば(民法1043条)、息子さんは相談者の死亡後に遺留分減殺請求権を行使できないので、相談者の奥さんはすべての財産を取得することができます。

 息子さんのお嫁さんには、現時点で相談者の財産に関する相続権はありませんので、特に心配は要りません。

 ただし、相談者の奥さんが相続し、その後に亡くなった場合は、息子さんが相続します。その後、息子さんが亡くなった時点で、離婚をしておらず、ご夫婦であれば、息子さんのお嫁さんも2分の1は相続します。

 どうしても、息子さんのお嫁さんに相続させたくない場合は、家族信託契約を設定して、受益権を相談者→相談者の奥さん→息子さん→孫の順に指定してもいいと思いますが、信託では、信託した時から30年経過後に最初に発生する相続までしか、契約で指定することはできません(信託法91条)。誰かが長生きすると当初の目的が達成できなくなります。

 現時点では、まずは相談者の奥さんの老後の生活を守ることが先決ですし、息子さんのご夫婦関係が今後どうなるのかは、義理の父である相談者にはわかりませんね。

 余り先のことは考えずに、息子さんが、将来、相談者の奥さん(息子さんのお母さん)から相続した財産について、誰に相続させるのかは、息子さんに決めてもらえばいいと思います。

 よって、今回のご相談では、家族信託は考えずに、遺言書の作成と遺留分の事前放棄のみをご提案いたします。

 ご参考にしてください。

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