相続税申告・相続税対策を検討している方へ
1. 相続税申告
まずは、他の相続手続と同様に、相続人調査と相続財産調査が必要です。
相続人等の戸籍謄本を取り寄せて、相続関係図を作成します。専門家に取り寄せを依頼する方がスムーズに取り寄せが可能ですので、専門家にお任せください。
次に、相続財産も調査が必要です。預金や株式は名義預金や名義株式と認定されて、相続人名義でも被相続人の財産と認定される可能性があり、修正申告が必要となるケースもあるので、予め預金口座であれば、被相続人や相続人、お孫さんなどの生前の財産移転の可能性のある方全員の預金履歴の10年分を取り寄せるのが通常です。無申告の贈与などがないか、預金の出捐者が誰なのかを確定します。
税務署は、ご家族全員の預金の履歴などを令状なしに調査する権限が法律上認められています。黙っていれば税務署にもわからないと考えていると非常に危険です。10万円単位の預金の移動についても、相続税調査の時に税務署から質問されることがありますので、贈与等の事実があれば包み隠さず事前にご報告いただきます。
2. 相続税対策の場合は、相続税がいくらになるのか試算しましょう。
遺言書を作成すると決めたら、相続人確定と財産目録を作成し、遺留分対策を行って、次に行うことは相続税の試算です。
資産をお持ちであり、妻や子供らがいる場合、自分の死後に家族らが紛争になることをあらかじめ防止することが必要です。
それと同時に、相続人に過重な納税の負担をかけないようにあらかじめ相続税対策を講じておくことも必要です。
税負担のためにせっかく相続した資産を物納したり、売却するのであれば、遺言者の意思は達成できなかったことと同じになってしまいます。
当事務所では、遺言相談の際に、多くのケースで相続税の試算を行います。また、推定相続人の方から、親や夫が亡くなった際の相続税の試算を依頼されるケースもあります。資産をお持ちのお父様などが遺言書等の作成に消極的な場合は、子供たちにとって、相続税の負担はかなりの不安要素です。
不動産等の資産をお持ちの方は、遺産を相続される妻や子供らに対する愛情表現として、子供たちがもめないように、かつ、相続税対策をし、納税資金を確保した上で、遺言書を作成するようにしてください。
3. 相続税の申告と納付に関して
相続税は相続発生後10カ月が経過するまでに申告・納付を行う必要があります。遺言書がなく、遺産分割協議が未了の場合でも、10カ月が経過するまでに、未分割の状態で相続税を申告する必要があります。
そして、遺産分割協議が成立した後に改めて修正申告や更正の請求を行って遺産分割によって確定的に取得した財産に応じて相続税を計算し直すという流れになります。
遺産が、不動産、預金、投資信託、株式等の多岐にわたる場合は、財産調査に相当の時間を要しますので、速やかにご相談されることをお勧めいたします。
なお、被相続人が収益物件をお持ちの場合、死亡から4か月後以内に準確定申告行う必要があります。そして、相続人がそれを引き継ぐことになりますので、不動産事業者としての申告する義務を引き継ぎます。青色申告の届け出を行うと、控除等の特典がありますが、申請を怠るとこれを受けることができませんので、青色申告承認申請書は事業引き継ぎ後2か月以内に行ってください。