遺言の有効又は無効確認の訴え

遺言無効の訴え

1. 遺言書の効力をなくす方法

 遺言書の効力をなくす方法としては、遺言者が死亡していない場合は、遺言書を撤回する方法があります。また、遺言者が既に死亡している場合は、遺言無効確認の訴えという方法があります。

2. 認知症で寝たきりの被相続人の例

例えば、認知症で寝たきりの被相続人が作成したとする遺言書が発見され、その財産を一部の相続人がすべて相続すると記載されていた場合、他の相続人は、その遺言書が被相続人の真意に基づいて作成されたのか疑義を抱くのではないでしょうか?
また、それまでの被相続人の発言内容や人的関係から、遺言書の記載内容に疑義を抱かざるを得ないという場合もあり得ます。

3. 当事務所が、取り扱った案件

当事務所が、取り扱った案件でも、認知症初期の方が作成した遺言書について疑義が生じたことがありました。数億円に上るすべての遺産を特定の団体に寄付するとの遺言書があり、その遺言書作成に関与した遺言者の友人がその特定の団体に関係しているという事案でした。
遺言者がいまだ死亡していないケースの場合は、遺言書を撤回することで、真意に基づかない遺言書を無効にすることができます。
しかし、遺言者が既に死亡してしまっているケースの場合は、遺言無効確認の訴えにより、遺言書の効力を無効とするほかはありません。

4. 遺言が無効となった場合

 遺言書が遺言無効確認の訴えにより無効となった場合は、相続財産について未分割となりますので、改めて相続人全員で遺産分割協議を行うこととなります。

5. 遺言が有効となった場合

 遺言書が遺言無効確認の訴えによっても無効とならず、有効と判断された場合には、遺留分権者であれば、遺留分減殺請求権を行使するほかはありません。
 遺留分減殺請求権は、遺言によっても奪えない相続人の取り分であり、原則として法定相続分の2分の1が遺留分となります。遺産総額が1億円で、相続人が兄弟の2名である場合、4分の1の2500万円が遺留分となります。
 遺留分減殺請求権行使は1年以内に内容証明郵便等で遺留分を請求する旨の意思表示を行わなければなりません。
 遺言の有効無効を争っているうちに、1年の時効期間が完成すると、遺言無効か訓訴訟で敗訴した後で、遺留分減殺請求権を行使することができなくなります。
 そこで、遺言無効確認訴訟を提起することと並行して、遺留分減殺の意思表示を行う必要があります。

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