任意後見契約を補完する見守り契約、財産管理委任契約、死後事務委任契約、遺言の作成

任意後見契約を補完する見守り契約

1. 見守り契約と財産管理契約とは

判断能力低下はご本人にとってもわからないままに進行することもあり、判断能力低下の時期があいまいであり、また判断能力低下後から任意後見監督人選任までの期間については、任意後見人は何もする権限がありませんので、ご本人のサポートをより完全にするために、一般的には、任意後見契約にあたって、通常は委任契約を任意後見契約と同時に見守り契約と財産管理契約を締結し、本人の判断能力低下後は任意後見に移行し、後見事務を行うという形態となります。
見守り契約とは、例えば、月に一度は電話連絡し、3か月一度に面談をするなどと言う契約となります。これによって、判断能力低下の時期を見逃すリスクが亡くなります。また、認知症以外の原因で介護施設を利用される場合は、デイサービスや通所介護等を通じて、任意後見人が介護サービス事業所から報告を受けて判断能力の有無を確認するという方法もあります。
財産管理契約は、実質的には任意後見契約と同様に、ご本人の財産を管理する契約ですが、開始時期を自由に設定できる点で、任意後見契約よりも柔軟に対応することが可能となります。ただし、財産の流用のリスクもあるため、定期的に書面による報告義務を定めたり、複数人で管理を行うなどの対応が必要です。また、社会的に信用性の高い法律事務所に依頼することが一番安心できると考えます。

2. 死後事務委任契約とは

ご本人が、亡くなられた場合は、任意後見契約は終了し、その後のお葬式などについて対応できませんので、死後事務委任契約が必要となります。
 ご親族がいとこなど、法定相続人でない方しかいらっしゃらなかったり、関係が疎遠である親族しかいらっしゃらない場合、ご親族が海外や遠方にお済みの場合には、その方々にご葬儀や死亡後の事務を依頼することは実質的に難しいといえます。そのような場合に、安心していただける契約が死後事務委任契約です。
 死後事務には以下のようなものが考えられます。
i. 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
ii. 永代供養に関する事務
iii. 死亡届等の行政官庁等への諸届けの事務
iv. 上記事務及び上記以外の医療費・住居費・介護費・家財道具等の処分費等の費用を精算する事務
v. ご親族やご友人へのご連絡

3. 遺言作成

 法定相続人等がいらっしゃらない場合等は、相続財産は国庫に帰属しますが、いとこなどでお世話になった方がいらっしゃる場合等は、その方に遺贈されたいと思われるかもしれません。
 そのような場合は、遺言書の作成もお勧めしております。
 法定相続人の方がいらっしゃらない、いわゆる『おひとり様』の方からのご依頼で、所有されるすべての財産をお金に換金の上、いとこの方に相続させる旨のご遺言を作成する際にサポートさせていただくケースが多いです。
 その際には、不動産の売却権限や相続財産の分配権限を明確にするために遺言執行者を指定していただくことになります。

4. よくあるご相談ケース

よくご相談を受けるケースとしては、高齢のご夫婦で、子供がおらず、夫婦の一方の判断能力がやや低下してきており、将来的な生活や財団管理等に不安を感じておられる方々、また、法定相続人の方がいらっしゃらない、いわゆる『おひとり様』、また、法定相続人の方がいらっしゃっても関係が疎遠の場合、また、ご兄弟等が亡くなられて甥や姪はいらっしゃるけれども、自分の将来について、その方々にご迷惑をかけたくないとお考えのご高齢者の方々から、ご相談をお受けしております。

5. 任意後見契約等におけるトラブル事例

トラブルの例としては、一般のお知り合いの方を任意後見人に選任されたケースで、後に財産の私的流用が発覚し、任意後見契約を解除するようなケースです。一旦、任意後見契約を締結すると、なかなか外部から任意後見人の不正を発見することは困難となりますので、任意後見人は社会的信用性の高い弁護士に依頼されることをお勧めいたします。
例えば、近しい友人と任意後見契約を締結したところ、ご本人の判断能力の低下後も任意後見監督人の選任を行わず、実質的にご本人の財産を管理して、私的に流用するという悪質なケースもあります。
別のご友人からのご相談を受け、任意後見人の私的流用が疑われた場合には、成年後見人や保佐人選任の申立を行って、裁判所が選任する成年後見人等の法定後見人による財産管理に切り替えるという方法で対応します。

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