遺留分減殺請求

妻が実母へ遺産のすべてを相続させるとの遺言があり、夫から実母へ遺留分減殺請求訴訟を提起した例

事案の概要

奥さんがうつ病で自殺し、その遺産に関するご主人からのご相談でした。結婚生活は15年で、夫婦仲は悪くはなかった。ところが、妻の実母から遺言書の検認手続が申し立てられたので、その対応を相談したいとのことでした。
 妻は、ここ10年来うつ病であり、夫婦には子供もなかった。夫は妻に対して公正証書遺言で財産のすべてを相続させる旨の遺言を作成していた。妻も、同様に夫に対してすべての財産を相続させる旨の自筆証書遺言を作成していた。
ところが、その遺言書をいくら探しても見つからず、妻の実母から申し立てられた検認手続で出てきたのは、妻の実母にすべてを相続させる旨の遺言でした。
 預金履歴を調査してみると1200万円の預金があり、夫の遺留分は1/3でしたので、400万円の遺留分減殺請求を提起しました。
 念のため、すべての預金について過去10年間の預金の取引履歴を調査すると、約4500万円が妻から実母に送金されていたことが分かり、特別受益として、遺留分減殺請求権を1500万円追加で請求し、2年ほどの訴訟期間で、結果的には1900万円を回収することができました。
 結婚して15年も経過しているのに、夫ではなく、実母にすべてを相続させるとの遺言が作成されるというのは不自然であり、妻のうつ病に乗じて、実母が遺言書の作成を迫ったようにも思われます。何かしらの働きかけが実母から妻になされ、そのために4500万円が送金されたようですが、携帯電話のショートメールでは、妻から実母に対してお金を返して欲しい等のメッセージがたくさん見つかりました。妻の自殺の原因は、実母と妻との金銭的トラブルに精神疾患が重なったためと我々は確信しています。ただし、遺言の有効性については、立証が困難であったことから、遺言無効の訴えは提起しませんでした。

お客様の声

 妻が亡くなって悲しみに暮れているところに、私ではなく実母にすべての財産を相続させるとの遺言書を見たときは、偽造された遺言ではないか、もしかして妻に裏切られていたのではないか、と悩みました。妻の自殺の原因がわからず、自分を責める日々が続きました。
どうして、多額の預金が妻から実母に移転したのか、真実はわかりませんが、妻を15年間も扶養し続けていたのに、私が全く遺産を相続できないというのは納得がいきませんでした。遺留分減殺請求訴訟を通じて、妻の本当の自殺の原因が実母との金銭トラブルであったという真相がわかり、少しだけですが、私の気持ちは楽になりました。

弁護士からひと言

 当初は、400万円の請求でしたが、預金の履歴を遡って調査することにより1500万円を追加で回収することができました。この事例に限らず、近時は預金の履歴から、特別受益や不当利得が発見される例が多く、預金の調査は相続案件には欠かせないと改めて感じる案件でした。
当時、旦那さんは、奥様の自殺の原因が自分にあると自分を責めておられましたが、訴訟を通じて徐々に真相が明らかとなりました。実の親子間での金銭トラブルにより、子供が自殺するなどと言うことが起こること自体、信じがたいことですが、人はお金のために鬼にでもなれるということでしょうか。本当にやり切れない事案でした。
奥様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

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