韓国籍の人が亡くなった場合の法定相続分
- 韓国籍の人が亡くなった場合の法定相続分は、日本民法の法定相続分と同じですか。
- 異なります。
詳細な説明
まず、相続は、被相続人の本国法によることになっているため(法の適用に関する通則法36条)、在日韓国人が亡くなった場合、韓国民法が適用されることになります。
そして、法定相続分ですが、韓国民法では、同順位の相続人が数人ある場合は、その相続分は、すべて均等とすることになっていますが(韓国民法1009条1項)、配偶者については、直系卑属と共同で相続するときは、直系卑属の相続分の5割を加算し、直系尊属と共同で相続するときは、直系尊属の相続分の5割を加算することになっています(同条2項)。
日本民法においては、法定相続分は、
- ①相続人が配偶者と被相続人の子供の場合
- ②相続人が配偶者と被相続人の父母の場合
- ③相続人が配偶者と被相続人の兄弟の場合
→配偶者2分の1、子供2分の1
→配偶者3分の2、父母3分の1
→配偶者4分の3、兄弟4分の1
となっているため、韓国民法と日本民法とでは法定相続分に違いがあります。
具体的には、以下のように違いがあります。
(1) 相続人が配偶者と被相続人の子供1人の場合
- ア)韓国民法
- イ)日本民法
配偶者:子供=1.5:1(5分の3:5分の2)
配偶者:子供=1:1(2分の1:2分の1)
(2) 相続人が配偶者と被相続人の子供2人の場合
- ア)韓国民法
- イ)日本民法
配偶者:子供:子供=1.5:1:1(7分の3:7分の2:7分の2)
配偶者:子供:子供=1:0.5:0.5(2分の1:4分の1:4分の1)
(3) 相続人が配偶者と被相続人の親1人の場合
- ア)韓国民法
- イ)日本民法
配偶者:親=1.5:1(5分の3:5分の2)
配偶者:親=2:1(3分の2:3分の1)
(4) 相続人が配偶者と被相続人の親2人の場合
- ア)韓国民法
- イ)日本民法
配偶者:父:母=1.5:1:1(7分の3:7分の2:7分の2)
配偶者:父:母=4:1:1(3分の2:6分の1:6分の1)
(5) 相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹1人の場合
- ア)韓国民法
- イ)日本民法
相続人は配偶者のみ
※ 韓国民法においては、配偶者と兄弟姉妹が共同相続人になることはありません(韓国民法1003条1項)。
配偶者:兄弟姉妹=3:1(4分の3:4分の1)
韓国民法と日本民法では、法定相続分だけでなく、法定相続人の範囲、相続順位、代襲相続人の範囲に違いがあるため、注意が必要です。
以上