独身男性で妹がいる場合の遺言の要否

独身男性で妹がいる場合の遺言の要否

 

:私は、教員をしておりましたが、現在は定年退職して無職です。未婚ですが、家族としては遠方に住んでいる妹がいます。両親は既に他界しています。妹には夫と子供二人がおります。
 
 私には、自宅不動産と相続した賃貸物件である土地があります。預金等も1億5000万円ほどあります。私が将来亡くなった場合は、妹だけが相続人なので、遺言等は要らないと思いますがいかがでしょうか?

 妹や甥っ子には、土地などは引き継がずに、換金した後の現金だけ渡したいと思っていますが、どのようなすればいいでしょうか?
 
 あと、妹は遠方ですし、私が死んだ後に葬式などを挙げてもらうのも気の毒なので、弁護士等に依頼することはできるのでしょうか?もし私がなくなる際に、妹が高齢となって認知症等になっている可能性もありますし、甥っ子二入りはあまり面識がないので私の葬儀の段取りなどをさせるのは気が引けます。

 あと、妹も年が近いので、妹が亡くなった後は、相続関係はどうなるのでしょうか?また、私も60代後半であり、認知症になったらどうしようかと心配ですが、対策などはどのようにすればいいでしょうか?

:独身の方からの相談では上記のような内容の相談が非常に多いいです。対策としては、遺言を作成して、遺言執行者を指定して換価処分を依頼する。死後事務委任契約を締結する。認知症対策としては、任意後見契約、財産管理契約などが考えられます。

 まず、相続関係ですが、相続人は、妹様だけです。相談者より先に妹様が亡くなられた場合は、その子供さん二人が2分の1ずつ相続することになります。

 相続関係は、単純であり、遺言がなくても妹様やそのお子様が相続されますが、換金事務を依頼する場合は遺言書の作成をお勧めいたします。

 相談者がなくなると、妹様がご存命の場合は、包括的に承継されますので、自宅の不動産の所有権、土地の賃貸借関係、預金等は妹様に引き継がれます。
 
 妹様に代わって死亡届や葬儀の挙行などの死後の事務の一切を依頼する契約を死後事務委任契約といいます。死後事務委任契約では以下の項目を取り決めるのが一般です。

i. 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
ii. 永代供養に関する事務
iii. 死亡届等の行政官庁等への諸届けの事務
iv. 上記事務及び上記以外の医療費・住居費・介護費・家財道具等の処分費等の費用を精算する事務
v. ご親族やご友人へのご連絡

 妹様に換金された現金だけを引き継ぎたい場合は、遺言書を作成し、遺言執行者に弁護士を指定し、不動産の換価処分と相続人への残余財産の交付を依頼する方法が考えられます。

 死後事務委任契約と遺言書作成により、葬儀等の死後事務のことで妹様や甥っ子様へ迷惑を掛けたくないというご要望と妹様や甥っ子様へ現金を交付したいというご要望は充たすことができると思います。

 あと、妹様が先に亡くなった場合は、その子供二人が代襲相続人となります。遺言書にも妹様が亡くなった場合には、甥っ子二人に相続させると記載することをお勧めします。

 あと、認知症対策としては、任意後見契約が考えられます。認知症になる前に、弁護士等と任意後見契約を締結しておいて、認知症となった場合には、任意後見人が財産管理を行うという制度です。認知症となった後は、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立を行って、二人体制で財産管理を行うこととなります。

 任意後見人の職務の範囲については、一般的には、①財産の保存、管理、②金融機関との預貯金取引、③賃貸物件等の管理及び収入の受領、費用等の支払い、④生活費の送金や生活に必要な財産の購入、⑤遺産分割等の相続に関する事務、⑥介護認定の申請、⑦介護契約その他福祉サービスの利用契約、⑧有料老人ホームの入居契約を含む福祉関係施設への入所に関する契約、⑨居住用不動産の修繕、⑩医療契約、入院契約の締結、紛争処理のための裁判内外の和解などとなります。
 
 よって、認知症となった後の、施設の入居等についてもご心配はなくなります。
 
 ただし、認知症となったどうかの判断は難しいので、任意後見契約の締結時点で、財産管理契約や見守り契約を行って、認知症となる前に財産管理を依頼すると安心でしょう。財産管理契約や見守り契約を締結して、認知症が発症した後は、成年後見等の申立をあらかじめ依頼する方法もあると思います。

 ご家族やご親類で信頼できる方が近くにいらっしゃる場合には、家族信託という方法により、財産管理を依頼するという方法も認知症対策としてよく使われます。

 家族信託についての詳しい解説は、家族信託に関する説明をご参照ください。

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