相続人調査と相続財産調査
相続が発生した場合の調査は、相続人調査と相続財産調査が必要となります。
1. 相続人調査
相続人の確定は、戸籍謄本等の取得により行います。被相続人か相続人かによって、取得するべき戸籍の範囲が異なります。
戸籍には、改正原戸籍、現在戸籍、除籍謄本などの種類があります。
被相続人や相続人で既に死亡した人がいる場合は、その方の出生から死亡までのすべての連続した戸籍を取得する必要があります。
相続人調査をしないと、前妻との子供があったり、認知を行っており、いわゆる嫡外子などがいる場合などに相続人が漏れることもあるからです。
仮に、相続人がほかにもいたのに、その方を入れずに遺産分割協議等を行っても、遺産分割協議は無効となります。
すなわち、相続人全員が遺産分割協議を行わない限り、その遺産分割協議は無効となりますので、相続人調査は大変重要な作業となります。
取得するべき戸籍謄本の範囲は、遺産分割や、相続放棄などの事案の種類によって、若干異なります。
数次相続が生じた場合には、あっという間に相続人の数が20人から30人となるケースもあります。
ご相談者が自分で戸籍を収集されて、当事務所に提出されても、多くのケースで戸籍の取得漏れがありますので、当事務所では、戸籍の収集からお任せいただくように指導させていただいております。ご了承ください。
2. 相続財産調査
相続財産の調査は、被相続人の資産を洗い出して一覧表にすることです。すべての財産を調査して、評価する必要があります。
不動産や自社株式などは評価が分かれる可能性があります。
したがって、評価額によって、損になったり特になったりするケースが出ますので、紛争が生じやすくなります。恣意的な財産の評価では、他の相続人は納得しません。財産の評価方法についても、相続人全員で合意する必要があります。一般的には、固定資産評価証明や路線価、公示価格などを参考に評価します。不動産鑑定士の鑑定評価によるケースもありますが、費用が掛かりますので、調停など紛争となった場合に不動産鑑定士の鑑定評価を利用します。すべての遺産を洗い出すことができなかった場合や財産目録に漏れがあった場合には、遺産分割が終わった後にその財産について再度遺産分割協議を行う必要が生じますので、相続財産の調査は慎重に行う必要があります。
預金等の金融資産については、死亡時からさかのぼって10年間の履歴を取り寄せます。そして、同居の親族など取得できる範囲内で、すべての相続人の預金の履歴も同時に取り寄せます。
被相続人の預金口座から、引き出して入金されていたりすると、特別受益となったり、相続税の申告時に無申告の贈与であるなどと指摘されて追徴等の制裁を受ける可能性もあるからです。
相続人間で対立があるときは、対立当事者の預金履歴は取り寄せることはできませんが、対立当事者が不正に着服している可能性があるときは、調停等の過程で提出を求めます。
相続財産調査についても、ご自身で行う方もおられますが、当事務所で、取り寄せた方がスムーズに早期解決できるケースが多いので、当事務所にお任せいただくように指導させていただいております。ご了承ください。