遺産分割調停の流れ
遺産分割協議が成立しなかった場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行います。遺産分割調停の手続の流れは以下の通りです。
1. 遺産分割調停申立書を作成します。
相続人の内、誰かが協議に応じなかった、又は、合意に至らなかった場合は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で遺産分割協議を行うことになります。
遺産分割手続では、まずは調停を行うべきとされています(これを調停前置主義といいます。)ので,相続人は、遺産分割調停を申し立てます。
遺産分割調停では、申立人が調停申立書を提出します。
2. 遺産分割調停の申立て
申立てに際しては、相続人を確定するための戸籍謄本や住民票、相続関係図、遺産目録、不動産登記簿謄本や固定資産評価証明書、預金口座や株式、投資信託の残高証明書、出資金や負債その他関連する資料を添付します。
3. 調停期日に家庭裁判所への出頭します
申立が受理され、1か月程度後に第1回目の調停期日が指定されます。調停手続では、調停委員が、各相続人から、交互に事情を聴くことになりますので、相続人同士が顔を突き合わすことは原則としてありません。
調停委員は、争点を整理して、中立的な立場で、遺産分割協議の成立に助力してくれます。
おおよそ1月に1回程度の調停期日が繰り返され、期日に終了時に次回期日までに主張立証すべき事項を相続人に伝えます。
相手方にもよりますが、短い場合は1回から2回で調停が成立する場合もあります。長い時で、半年から1年かかる場合もあります。
後述するように、調停不成立の場合には、審判に移行しますので、調停手続きで徒に時間を費やすことは、解決までの時間の経過に影響しますので、調停での合意の見込みが低い場合には、なるべく早急に調停不成立として、審判に移行します。
4. 調停手続での協議の内容
遺産分割調停手続内では、相続人の確定、遺産の範囲の確定、不動産等の資産の評価、特別受益や寄与分、各相続人の相続分の確認、遺産分割方法の確認などが行われます。
調停が成立すれば、調書が作成されます。
不動産は、価値が高く、利害対立が激しい遺産となりますので、評価について合意が成立しない場合には、双方から不動産鑑定士の鑑定書が提出される場合があります。
不動産が賃貸物件であるような場合は、成立までの家賃等の清算も問題となるため、合意に至るまでに山あり谷ありの遺産と言えます。双方が、なるべく早急に合意に向けて、資料を提出するようにすることで、早期解決につながります。
当事者が、資料提出に積極的でない場合は、手続が長期化する傾向にあります。
調停調書が作成されたにもかかわらず、履行しない場合には、強制執行手続により実現することになりますが、通常は、調停調書通りに履行されます。
5. 調停に代わる審判
これはわずかな意見の相違により、調停が成立しないような場合や一方当事者が手続遂行の意欲を失っているような場合に、当事者に異議申し立ての機会を保障しつつ、裁判所がそれまでに収集された資料に基づいて、合理的かつ具体的な解決策を示すことです。
これに対して、当事者が告知日から2週間以内に異議申し立てを行わなければ、調停に代わる審判が確定し、審判と同一に扱われます。
6. 調停の不成立→審判へ移行
遺産分割調停で合意できなかった場合や調停に代わる審判に対して当事者が異議申し立てを行った場合は、調停不成立として、審判に移行します。